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2014年09月17日(水) 
わたしが小学生の頃には、どこの学校でも同じように、薪を担いで歩きながら本を読んで勉強している二宮尊徳像が、校庭にすみに建っていました。その後、日本経済が高度成長していく中で、「子供達が像の真似をして本を読みながら歩くと交通事故に遭う危険がある」という声があがり、また実際に薪を背負いながら本を読んでいたという事実が(1881年に発行された『報徳記』に記述があり、それを基にした幸田露伴著の『二宮尊徳翁』(1891年)で挿絵として登場しているが)確認できないこともあり、ほとんどが学校で校庭から撤去されてしまいました。

二宮尊徳は幼名を金治郎といい、現在の神奈川県小田原市の裕福な家庭に生まれましたが、少年期に両親と死別して以後、親戚にもらわれて貧しい暮らしを強いられました。その中で金治郎は、勤労に励み倹約を重ねながら、かたわらでは独学で豊かな幅広い見識を育み、やがて全国各地の困窮した農村の救済にその手腕を発揮することになります。彼は、破綻した農村を救済すべく全精力を傾け、その行動から培った知恵を体系的思想として唱えたものが「報徳の思想」です。

幕末から明治に至る日本の黎明期、道徳と経済の調和・実践を説き、困窮にあえぐ農民の救済をめざした報徳運動が全国に広まりました。尊徳門下の岡田良一郎の力強い指導による活動が盛んだった掛川は、やがて全国の報徳運動の中核地となり、この地に「大日本報徳社」が開設されました。

報徳の思想は、たんなる説法や論理ではなく、江戸末期の日本の農村現実に即した実践的なもので、理論は行動と一体をなし、さまざまな生活様式(仕法)として体系化されて人々の暮らしに定着してゆきました。人間の欲を認めながらも、しかし周りとたくみに調和させながら、心も金も同時に豊かに育もうという優れた実践思想は、やがて農村救済という枠を大きく超えて幅広い分野に浸透していきました。

渋沢栄一、安田善次郎、松下幸之助、土光敏夫をはじめとする、多くの事業家たちにも多大な影響を与えるなど、歴史的・世界的見地からみても卓越して深遠な報徳の思想は、今も日本社会の基盤を支える哲学として社会に息づいています(いましたかも知れません)。

報徳の思想を形成する四つの柱は、「至誠」「勤労」「分度」「推譲」という言葉で表されています。
「至誠」は、すべてのものに良い結果を与える理念として、「まごころをもって事に当たる」こと。人に対して才知や弁舌は有効かも知れないが、鳥獣や草木を説く事は出来ません。至誠と実行は米麦、野菜、草木にまで繁栄をおよぼす教えです。

「勤労」は、「積小為大(せきしょういだい)」という言葉に代表される考え方で、大きな目標に向かって行動を起こすにしても、小さなことから怠らず、つつましく勤めなければならないということです。

「分度」とは、適量・適度のこと。分度をしっかり定めないままだから、困窮してしまうし、暮らし向きも楽にならない。家計でも仕事でも、現状の自分にとってどう生き、どう行うべきかを、知るということが大切だという考えです。

「推譲」とは、肉親・知己・郷土・国のため、あらゆる方面において、譲る心を持つべきであるという考え。分度をわきまえ、すこしでも他者に譲れば、周囲も自分も豊かになるものだという教えです。

また、これら「報徳の精神」をわかりやすく表現しているのが、9字12行、計108文字の漢文「報徳訓」です。

父母根元在天地令命  身体根元在父母生育  
子孫相続在夫婦丹精  父母富貴在祖先勤功  
我身富貴在父母積善  子孫富貴在自己勤労  
身命長養在衣食住三  衣食住三在田畑山林  
田畑山林在人民勤功  今年衣食在昨年産業  
来年衣食在今年艱難  年々歳々不可忘報徳

父母の根元は天地の令命にあり
身体の根元は父母の生育にあり
子孫の相続は夫婦の丹精にあり
父母の富貴は祖先の勤功にあり
吾身の富貴は父母の積善にあり
子孫の富貴は自己の勤労にあり
身命の長養は衣食住の三にあり
衣食住の三は田畑山林にあり
田畑山林は人民の勤耕にあり
今年の衣食は昨年の産業にあり
来年の衣食は今年の艱難にあり
年々歳々報徳を忘るべからず

二百年近く前の哲学的思想ですが、いまだからこそ人として生きるために必要な考え方であり、だれもが人生の規範として持たなくてはならない教えであると思います。今回は、大日本報徳社の綱取事務局長自ら案内役を務めて頂き、大切なことをたくさんご教授頂きましたことを感謝します。

閲覧数1,104 カテゴリ日記 コメント1 投稿日時2014/09/17 13:41
公開範囲外部公開
コメント(1)
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  • 2014/09/22 23:00
    以徳報徳 キリスト教の教えに近いものがありますね
    今こそ報徳精神をしっかりとはっきしないといけませんね

    ありがとうございました
    次項有
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