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2014年09月17日(水) 
世界遺産というと「知床」や「小笠原諸島」などの世界自然遺産、「富士山」や「姫路城」などの世界文化遺産、「マチュ・ピチュの歴史保護区」や「タスマニア原生地域」などの世界複合遺産が知られていますが、世界農業遺産というカテゴリーがあることはつい最近まで知りませんでした。

世界農業遺産(世界重要農業遺産システム:Globally Important Agricultural Heritage Systems/GIAHS)は、ユネスコが指定する世界遺産とは異なり、世界の農林水産業の振興を司るFAO(国際連合食糧農業機関、本部:ローマ)が認定し、農業のシステムを評価するもの。

『社会や環境に適応しながら何世紀にもわたり発達し、形づくられてきた農業上の土地利用、伝統的な農業とそれに関わって育まれた文化・景観・生物多様性に富んだ、 世界的に重要な地域を次世代へ継承すること』を目的として、2002年に創設されました。

2013年5月時点の認定登録数は、世界中でわずか25箇所。日本では新潟県佐渡地域が『国の特別天然記念物である「トキ」と「人」が共生し、豊かな生態系や景観を保全する取り組み』で、石川県の能登地域が『棚田が無数に並ぶ「千枚田」など里山・里海の保全活動』がそれぞれ高く評価されて2011年6月に認定されました。 これに加えて、2013年5月に「熊本県の阿蘇」も「大分県の国東半島宇佐」と並び「静岡の茶草場農法」が認定されています。

「茶草場農法」とは、茶園の畝間にススキやササを主とする刈敷きを行う伝統的農法のことで、古来からこの茶草によって、茶の味や香りが良くなると言われ、静岡県掛川市を中心とした地域で続けられてきました。

秋から冬に掛けて茶草場で刈り取る「ススキ」は10~20年ほどの長い時間をかけて土に還ります。ススキが分解されて出来た土は、手にとるとふんわりと崩れてしまうほどやわらかく、茶畑ではこの土で茶の木の根元を覆って茶栽培が行われています。

新幹線の車窓からもよく見える茶畑の風景は、静岡の代名詞のひとつですが、茶畑の周囲には茶園に敷く草を刈り取る「茶草場」が点在しているのがわかります。このような風景は、昔は日本中どこにでも見られたありふれた里山の風景でしたが、農業や人々の生活が近代化すると里山の資源は使われなくなり、人の手が入ることで美しさを保っていた「半自然草地」も放置されるようになってしまいました。 そしていまでは、全国的に見られた半自然草地は著しく減少して、それらの草地をすみかとしていた多くの動植物が絶滅に瀕しているのです。

そのような中で、静岡県では茶草場農法が脈々と維持されてきた理由は、草を敷くことによって茶の品質がよくなることから、農家が手間ひま掛けて草を刈り草を敷いてきたことにあります。 この茶づくりのこだわる思いが、日本から失われつつあった里山の草地の環境を守り続けてきました。以前は秋になるとこどもも含めた地域全体で、山の急峻な斜面にまで張り付いて草刈りをする様子があちこちでみられたそうです。

人の手によって維持管理されている草地環境は「半自然草地」と呼ばれています。 人の手が入って草を刈ることは、一見すると自然を破壊しているようにも見えますが、実際には人の手が適度に入った里山環境では、多くの生物種が生息することが知られています。 草を刈らずにおくと、生存競争に強い植物ばかりが生い茂ってしまうので、生息できる植物の種類はかえって少なくなってしまうのです。 定期的に草を刈り取ることによって、大きな植物が茂ることなく、地面まで日の光が当るので生存競争にも弱いさまざまな植物が生息をすることができます。こうして里山の草地ではさまざまな植物が生息して、豊かな生物多様性を作り上げるのです。

普段なら遠くからぼんやり眺めている風景も、地元のタクシーに乗せてもらってドライバーのおじさんの説明を聞きながら見つめることで、一見雑草と見える草むらの中に絶滅の危機に瀕している草木を確認したり、地域の人々が自然と共生しながら生きてきた歴史と文化、そしてその努力のおかげで残されている大切な環境のありがたさをしっかりと学ぶことができました。世界農業遺産の理念に深く接することが出来たことに感謝したいと思います。

閲覧数706 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2014/09/17 09:49
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